2022-03-16
先日、当事務所弁護士において、依頼者の遺言書の保管手続に付き添いましたので、その事案についてご紹介致します。
遺言書の保管手続は、令和2年7月10日から開始された制度で、自筆遺言証書を法務局において保管してもらえるというサービスです。
遺言の形式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がありますが、この保管制度の対象は自筆証書遺言のみです。公正証書遺言と秘密証書遺言は、公証人の前で法に定められた手続を行う必要があり、その後公証人役場において保管されますので、保管について特段問題はありません。他方で、自筆証書遺言は、特に保管方法等については定められていませんので、自分で保管することになります。このため、紛失・汚損のおそれがあり、また第三者に破棄されてしまう可能性などもあります。この心配を解消するのが、今回の法務局での保管制度です。
この制度を利用するには、事前に法務局で予約をとらなければなりません。今回は依頼者の方の住所地を管轄する鹿児島地方法務局の本局(鴨池)の供託課で予約をとりました(受付時間:平日8:30~17:15)が、直近の日時は既に埋まっていていました。お急ぎの方は、早めに予約をとるようにして下さい。なお、インターネットでも予約が可能ということです(24時間365日可能)。
予約をとる電話において、申請書の書式や添付書類などの案内がありました。必要な添付書類等は法務局のサイトなどからも確認ができますが、
・遺言書原本
・申請書(事前に記入しておくこと)
・本籍と戸籍の筆頭者の記載のある住民票の写し
・顔写真のある身分証明書
・手数料として収入印紙で3,900円
でした。顔写真のある身分証明書は、鹿児島市が発行している友愛パスで大丈夫ということでしたので、今回は友愛パスにしました。
この法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用するにあたっては、まず、当事務所において依頼者が希望する遺言書の内容を聞き取り、その上でその内容が法的に問題がないか検討し、依頼者の方に自筆で遺言書を作成していただきました。
そして、上記必要書類を依頼者の方と一緒に準備をして、予約した日時に鹿児島地方法務局3階の供託課に行き、必要書類を提出しました。この手続は、必ず遺言者の方が行かなければ手続ができないこととされていますので、弁護士は付き添いです。
供託課に着くと、職員の方が丁寧に対応してくださいました。まずは友愛パスで本人確認があり、続いて遺言書の確認がありました。遺言書の内容については審査はしないこととなっていますが、職員の方は形式面を確認しながら、依頼者の方に遺言の内容についても確認されていました(内容については、審査ということではなく、「この方に半分をあげたいのですね」といった確認でした)。
なお、遺言者が亡くなられた際(法務局がその事実を確認した際)に法務局から指定の方に通知をする制度がありますが(死亡時通知)、今回は遺言執行者である当事務所弁護士に通知をしていただくこととしました。
これらの確認等が終わった後、職員の方が手続をされるということで、しばらくお待ち下さいという話がありました。手続にはそれなりの時間がかかりました(体感ですが30分以上はあったと思います)。この待ち時間のために本などを準備していた方がいいかもしれません。
その後、職員の方から手続が終了したということで、保管証を受領して手続は終了となりました。尚、公証役場で手続きをする公正証書遺言はその財産の価格に応じて手数料が必要ですが、法務局の保管手続きは、上記のとおり3900円でした。
この手続をとっておけば、遺言者の方が亡くなられた場合にも裁判所に出向いての遺言書の検認の手続が不要となりますので、相続人の負担も一つ減ることになります。依頼者の方もこれで一つ心配事が片付いたということで、すっきりした顔をされておられました。
以上が法務局における自筆証書遺言書の保管手続きの概要ですが、遺言書の書き方が分からないとか遺言書の内容が適正なものか不安があるなど、何か心配事や不明な点などありましたら、弁護士に相談した上で手続きをとられた方が間違いないかと思います(その場合の弁護士費用については当該弁護士に相談して下さい)
下記以外の法律相談にも対応いたしております。
まずはお気軽にご相談ください!